2023年賃上げニュース

2023年1月中旬に、ユニクロが展開するファーストリテイリンググループは、今春新入社員の初任給を、現行の25万5000円から30万円(年収で約18%増)に引き上げるニュースが流れ世間に驚きを与えました。

また23日、岸田文雄首相は、衆院本会議の施政方針演説で、持続的に賃金が上がる構造を作り上げるため、労働市場改革を進める決意を示し、足元で物価上昇を超える賃上げが必要とも語っています。

東京商工リサーチのアンケート調査では、2023年度に賃上げ実施を予定する企業は、81.6%でした。2022年度に実施した企業の82.5%からは0.9ポイント下落したものの、2年連続の8割台で、コロナ前と同水準を維持しているとしています。
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20221021_01.html

引用:東京商工リサーチ

そして、日本経済研究センターの1月度調査では、23年の春闘賃上げ率は、平均で2.85%(定期昇給分が1.78%、ベースアップ分が1.08%)と予想されています。
https://www.jcer.or.jp/esp-forecast-top

引用:日本経済研究センター

コロナ後の流れとして、こうした賃上げの圧力が高まっていると言えるのではないでしょうか。

次に、物価上昇に負けない賃上げを促進するための助成金を紹介します。

2023年注目の助成金3選

賃上げを支援する新設・拡充が行われた助成金を紹介します。こちら大きく3つのグループに分けることができます。

1. 労働者の賃上げ支援
2. 人材の育成・活性化支援
3. 賃金上昇を伴う労働移動の円滑化支援

では、それぞれにポイントを見ていきましょう

1. 労働者の賃上げ支援

労働者の賃上げ支援では、事業場内の最低賃金の引き上げと、設備投資等を行った場合の費用を助成する「業務改善助成金(通常コース)」の拡充が、昨年末に行われました。

拡充の内容は、事業場規模30人未満事業者の助成上限額の引き上げや、助成対象経費の拡大等がなされています。

詳しくはこちらを参照下さい

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29656.html
引用:厚生労働省HP

2. 人材の育成・活性化支援

人材育成・活性化支援においては、企業内で人材育成を行った場合の訓練経費と訓練期間の賃金を助成する「人材開発支援助成金」です。

1つめは、本助成金の「人への投資促進コース」の一部メニュー定額制訓練(サブスクリプション型の研修サービス等)の訓練経費助成率及び助成限度額が引き上げられています。

2つめは「事業展開等リスキリング支援コース」が新たに設けられています。

このコースは、企業の持続的発展のため、新製品の製造や新サービスの提供等により新たな分野に展開する、または、デジタル・グリーンといった成長分野の技術を取り入れ業務の効率化等を図るため、

既存事業にとらわれず、新規事業の立ち上げ等の事業展開に伴う人材育成
業務の効率化や脱炭素化などに取り組むため、デジタル・グリーン化に対応

した人材の育成に取り組む事業主を対象に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を高率助成により支援する制度となっています。

3. 賃金上昇を伴う労働移動の円滑化支援

この分野では「労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)」の見直しが行われています。

事業主の経済的事情により離職を余儀なくされた労働者で「再就職援助計画」の対象となった方を、早期に雇い入れた事業主に対して助成されるものです。

さらに、より高い賃金(雇い入れ前賃金比5%以上)で雇い入れた事業主には助成額が加算されます。

他にも「中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)」では、45歳以上の賃金を前職より引き上げる中途採用を推進するため、助成対象や助成額の見直しが行われています。

さらに「特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)」では、未経験職種への転職希望者を採用して訓練を行い、賃金引上げを行った場合の助成額が、通常の1.5倍、引き上げられています。

賃上げを予定されている、または採用を計画しているのであれば、助成金の活用を視野に入れておかれてはいかがでしょうか。

「どの支援策が自社に合うのかわからない」「専門家に相談したい」という場合は、弊社労士事務所へご用命をいただければ幸いです。