キャシュ(手元資金)は重要、黒字でも倒産!?

世界がグローバル化された現在、さまざまな社会条件によって予期せぬ景気変動が発生し、好景気・不景気の波が押し寄せてきます。特に起業・開業間もない事業主の方にとっては初めて経験することに戸惑われるかも知れません。

そんな経済環境の中、事業を安定的に継続し存続させるために、キャシュフローの重要性はいうまでもありません。

極論かもしれませんが、いくら借り入れが多くて赤字経営でも、銀行の融資を受けることができ、手元資金(キャシュ)が回っているならば倒産することはありません。

逆に帳簿の上では黒字でもキャシュがないことで倒産する「黒字倒産」が起こります。

掛け取引の場合、実際に入金がなくても、売上確定の時点で売上を計上することが多くあります。

しかし手元に現金がある訳ではありませんのでキャッシュがショートすれば、仕入れや給与の支払いができずに、たちまち経営が成り立たない事態を迎えてしまいます。

ではキャッシュ確保のための、5つの方法について順に見ていきましょう。

自己資金

これは事業主自身の資金で、開業時には自己資金を多く準備することが基本です。実際は預貯金や金融資産を取崩して調達します。

自己資金の場合は、経営権を保てるので、経営の自由度が高い、また金利負担が少ない。しかし資金量が限られるという側面があります。

融資を受ける

融資はいわゆる借入金で、民間の金融機関である銀行、政府や地方自治体の制度融資、さらには親族・知人からの借入があります。

民間金融機関には、大手金融機関であるメガバンク、地銀・信金・信組、消費者金融があります。民間の金融機関からの借り入れは「金利の負担」が大きくなります。

政府系の金融機関としては、日本政策金融公庫があり、個人企業・小規模企業、中小企業向けに各種の融資制度が設けられています。

日本政策金融公庫のHP

現在「新型コロナウイルスに関する相談窓口」が開設されています。詳しくは日本政策金融公庫のHPを確認下さい。
https://www.jfc.go.jp/n/finance/saftynet/covid_19.html

一方、地方自治体は各都道府県による制度が設けられています。東京都の例では東京都創業支援があり、女性・若者、シニアを対象とする融資制度が設けられています。

出資を受ける

出資を受けるには一般的には株式の発行が必要になってきます。

出資者としてはベンチャーキャピタル、クラウドファンディング、エンジェル投資家(個人投資家)、パートナー企業などがあげられます。

出資の条件や規模は出資者により異なってきますが、多くは起業・開業に対してなされるものとなっています。

そして事業から生まれた株の値上がり益や配当が、出資者へ渡る仕組みとなっています。

補助金・助成金

国や地方自治体には、企業向けの補助金・助成金の制度が準備されています。

経済産業省系の補助金(小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金)、厚生労働省の雇用に関する助成金(キャリアアップ助成金)などがあります。

地方自治体では市区町村の各自治体が、独自の補助金、助成金が設けられています。

補助金・助成金の一番のメリットは、返済不要ということです。

しかし不便な点としては、条件に適合する必要があることと、給付されるまでの期間が長く、すぐにキャシュが使えるという訳ではありません。

助成金、補助金については下記記事を参考にして下さい

ファクタリング

ファクタリングとは、企業から入金待ちの請求書(売掛債権)を買い取り、売掛債権の管理や回収を行う金融サービスです。

売掛債権の現金化を早期可能にする比較的新しい資金調達方法です。資金調達では最も早くキャシュ化できます。

ファクタリングのデメリットは、手数料が発生するというところです。

一般的に2社間ファクタリングでは、売掛金額の15%〜30%、3社間では売掛金額の1%〜9%が手数料の相場となっています。

一方、メリットは保証人や担保も必要なく、最短1日で売掛債権を現金化できるという点でしょう。さらに決算書や信用情報に影響することはありません。

ファクタリングは融資契約ではなく売買契約となり、特別な許認可が必要ないことから、なかには悪質な業者も存在しています。ですので契約の際は、信頼できる優良な業者を選ぶことが重要です。

大口から小口まで幅広く対応するファクタリングサービスを提供する会社が増えてきており、手数料が下がっている傾向が見られますので、利用時は複数社へ査定依頼し比較するのが良いでしょう。

資金調達、資金繰りと財務体質の改善への取り組みは、事業主にとって気の休まる時がなく、心配の種が付きない課題です。しかし各種の資金調達の方法のメリット、デメリットを知り有用に活用しましょう。