厚生労働省の雇用関係の助成金の手続きについて、申請から受給までの流れを見ていきましょう。助成金を正しくもらう為には正しい手順が必要です。

提出書類に不備や不足があれば、差し戻しが発生し、やり直しのために期限に間に合わない恐れも出てきますので十分注意しましょう。

助成金申請手続きの流れ

まず申請しようとする助成金コースには、それぞれに「受給手続」が示されていますが、基本的な手続きの流れは概ね次の通りです。
(特定求職者困難コースを除く)

1 計画書の提出
  計画を作成し、管轄労働局長へ提出する。
  ・計画書の提出期日は助成金コースによって定められています。

2 認定を受ける
  管轄労働局長の認定を受けます。

3 制度の導入
  就業規則へ制度導入が必要な助成金コースの場合、就業規則に規定する。
  就業規則は管轄する労働基準監督署へ届け出る。

4 措置の実施
  助成金コースの要件に応じて、必要な措置を講じる。

5 支給申請
  助成金コースの要件に応じて、支給申請に必要な書類を提出する。
  ・支給申請の提出期日も助成金コースにより定められています。
  ・生産性要件に係る支給申請の場合は、生産性要件シートおよび算定の根拠となる書類の提出が必要。

6 審査・支給決定
  申請状況によって、審査に時間を要する場合がある。
  ・支給決定がなされた場合は、助成金を受給できます。
  ・不支給決定の場合は、助成金は受給できません。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)の手続き例

それではキャリアアップ助成金の正社員化コースを例に手続きの流れを追って見ましょう。
この助成金コースは対象となる労働者(有期契約労働者等)を正規雇用労働者等に転換、または直接雇用(派遣の場合)した場合に助成されるものです。

1 キャリアアップ計画の作成と提出
  ・雇用保険適用事業所ごとに「キャリアアップ管理者」を配置します。
  ・労働組合等の意見を聴いて「キャリアアップ計画」を作成します。
  ・この計画書を管轄労働局へ提出し、管轄労働局長の認定を受けます。
  ・転換・直接雇用を実施する日までに提出する必要があります。
  (注)対象となる労働者
     雇用される期間が通算して6か月以上の有期契約労働者
     雇用される期間が6か月以上の無期雇用労働者
     6か月以上の期間継続して派遣先の同一の組織単位の業務に従事している派遣労働者(雇用された期間が3年以内に限る)

2 就業規則、労働協約その他これに準ずるものに転換制度を規定
  ・キャリアアップ計画提出前に転換制度を規定していた場合でも対象となります。
  ・労働基準監督署に改定後の就業規則を届ける必要があります。
  ・10人未満の事業所は労働基準監督署への届出の代わりに、労働組合等の労働代表者の署名および押印による申立書でも可。

3 転換・直接雇用に際し、就業規則等の転換制度に規定した試験等を実施
  ・転換は3種類あり、有期雇用契約から正規雇用、有期雇用契約から無期雇用、無期雇用から正規雇用へ転換する場合です。
  ・直接雇用は、派遣労働者を派遣先で正規雇用として直接雇用する場合です。

4 正規雇用等への転換・直接雇用の実施
  ・転換後の雇用契約書や労働条件通知書を対象労働者に交付します。
  ・転換後に適用される就業規則等に規定している労働条件・待遇にする必要があります。
  (注)転換前6か月の賃金と転換後6か月の賃金を比較して5%以上増額している必要あり。

5 転換後6か月分の賃金を支給・支給申請
  ・転換(または直接雇用)後6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に支給申請します。
  ・賃金には時間外手当も含みます。

6 審査、支給決定
  ・管轄の助成金センターにて審査がなされます。
  ※弊所の経験では支給決定まで半年程度かかっている場合がございます。

具体的な手続きの流れ、および必要な書類は、受給しようとする助成金のコースによって異なっていますので、それぞれの助成金の案内を確認する様にしましょう。