成長分野人材確保・育成コースの紹介

令和4年4月1日より、特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)が創設されています。

この成長分野人材確保・育成コースは、特定求職者雇用開発助成金の他の6コースの要件に該当する労働者を、指定の分野の業務に従事させた場合に活用できる助成金です。

つまり他の6コースの要件を満たす労働者を雇用し、その労働者を成長分野である、(a)デジタル、DX化関係業務、(b)グリーン、カーボンニュートラル化関係業務のいずれかの業務に従事した場合、助成の対象となります。

そして成長分野人材確保・育成コースは、既存コースの1.5倍を助成する高額助成となっています。

特定求職者雇用開発助成金の他の6コース

それでは成長分野人材確保・育成コースの助成を受けるための、前提となる他の6コースを紹介していきます。

(1)特定就職困難者コース

60歳以上65歳未満の高年齢者や障害者、母子家庭の母など、就職が特に困難な者を雇用する場合に助成されます。

(2)生涯現役コース

65歳以上の離職者を、1年以上継続して雇用する場合に助成されます。高年齢者が引き続き、その経験等を社会で活かす支援を目的とされています。

(3)被災者雇用開発コース

東日本大震災による被災離職者等を、1年以上継続して雇用する場合に助成されます。被災離職者等の再就職の支援や雇用の安定を図ることが目的とされています。

(4)発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース

発達障害者または難病患者を雇用する場合に助成されます。発達障害者や難病患者の雇用を促進し、職業生活上の課題を把握することが目的とされています。

(5)就職氷河期世代安定雇用実現コース

いわゆる就職氷河期に就職の機会を逃した等、十分なキャリア形成がなされずに正規雇用労働者としての就業が困難な者を、正規雇用労働者として雇用した場合に助成がなされます。

(6)生活保護受給者等雇用開発コース

生活保護受給者等を、継続して雇用する場合に助成されます。生活保護受給者等の雇用機会の増大や雇用の安定が目的とされています。

成長分野人材確保・育成コース

上記の(1)〜(6)のいずれかに該当する者を雇用した事業主が、該当の労働者を成長分野等の業務に従事させる場合に助成が行われます。

助成の対象となる労働者の人材育成や職場定着など、成長分野への労働移動の円滑化を図ることが目的とされています。

申請予定の労働者が既存のコースの要件を満たしているかどうかを確認し、次に成長分野人材確保・育成コースが活用できるかを検討するとよいでしょう。

要件

成長分野人材確保・育成コースの対象となるのは、各コースで定められた要件を満たす労働者の雇用に際し、以下のすべてを満たした場合です。

(1)対象労働者を、次のaまたはbのいずれかの業務に従事させる
 a.デジタル、DX化関係業務
 b.グリーン、カーボンニュートラル化関係業務
(2)対象の労働者について、雇用管理改善または職業能力開発に関する取組を実施する
(3)上記に関る計画書・報告書を提出する

支給額

中小企業の場合、短時間労働者以外の支給額は以下の様になります。なお対象労働者に支払われる賃金が上限となります。

・65未満の高齢者、母子家庭の母、就職氷河期世代不安定雇用者、生活保護受給者等等
中小企業…90万円
(支給対象期ごとの支給額 45万円×2期)

・65歳以上の高年齢者
中小企業…105万円
(支給対象期ごとの支給額 52.5万円×2期)

・身体、知的障害者等
中小企業…180万円
(支給対象期ごとの支給額 45万円×4期)

・重度障害者等
中小企業…360万円
(支給対象期ごとの支給額 60万円×6期)

成長分野に該当する業務、非該当の考え方と例

該当する

「成長を新しく生み出す」
デジタル等の製品や技術を新たに生み出すために直接必要な業務
例:デジタル等の製品・技術の開発
製造等(ウェブ制作・ウェブデザインなどを含む)や、これと一連の業務(実験、テストなど)

「成長に直接寄与する」
デジタル等の製品や技術を新たに生み出すものではないが、デジタル化等の拡大に
資するものと評価できる業務
例:デジタル等の製品や技術のインフラ整備、メンテナンス、営業・販売等の業務

詳しく事例は、下述の「該当・非該当参考事例集」でご確認下さい。

該当しない

デジタル等の製品や技術を使用するが、主な業務内容が成長分野と関連性が低い等
→デジタル化等の拡大につながらないため該当しない
例:デジタル製品を使用した事務業務
デジタル製品や技術を扱う会社の警備・清掃業務、電気自動車を利用した配送業務等

該当・非該当参考事例集
https://www.mhlw.go.jp/content/000922246.pdf

成長分野人材確保・育成コースの案内
https://www.mhlw.go.jp/content/000922236.pdf

引用:厚生労働省HP

今後も増々、DX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)の政策が推進されてくることが予測されますので、労働者の雇用、業務配置においては助成金が活用できることも考慮しながら進めることができればと思います。